2025年の水産物輸入動向|えび・かに加工原料の調達構造を読む

エスケイ・インターナショナル株式会社

水産庁は令和8(2026)年6月5日に令和7年度水産白書を公表しました。同白書には、令和7(2025)年の水産物輸入の実績が財務省「貿易統計」に基づく数値として整理されています。加工原料を輸入に依存する食品メーカー・水産加工メーカーにとって、ここで読み取るべきは総量の増減そのものではなく、その内訳に表れた調達構造の変化です。最新の統計をもとに、えび・かに加工原料の調達計画で押さえるべき論点を整理します。

令和7年の水産物輸入は量が減り金額が増えた

令和7年度水産白書によると、令和7(2025)年の我が国の水産物輸入量は製品重量ベースで208万tとなり、前年から3.4%減少しました。一方で輸入額は2兆1,454億円となり、前年から3.8%増加しています。数量が減っているにもかかわらず金額が増えているため、輸入水産物全体では単価が上昇したことになります。

同白書は、我が国の水産物輸入量が国際的な水産物需要の高まりや国内消費の減少等に伴って緩やかな減少傾向で推移してきたとしたうえで、近年は大幅な円安の進展や世界的な物価高騰等を受け、冷凍水産物や加工原材料、輸入餌料等の輸入水産物の価格が高騰しており、これらの価格安定も課題となっていると記しています。加工原料の調達コストの上昇は、統計上の数値としても表れています。

▶ 予算は数量ではなく単価前提で組み直す
前年と同じ数量を確保する前提で予算を据え置くと、単価上昇分がそのまま調達不足として跳ね返ります。為替と輸入原価の関係については円安と輸入甲殻類原料の調達で整理していますので、あわせてご覧ください。

輸入先国の構成とえび原料の供給ルート

令和7(2025)年の主な輸入先国・地域は、中国、チリ、米国でした。品目別に見ると、輸入額の上位を占める品目のひとつにエビが入っています。同白書は、輸入先国・地域は品目に応じて様々であるとしたうえで、エビはインド、ベトナム、インドネシア等から多く輸入されていると記しています。

つまり、水産物輸入全体の上位国と、えび原料の主な調達先は一致しません。全体の統計だけを見て自社の調達環境を判断すると、実際に影響を受ける産地の動きを取り違えかねません。

原体と調製品は統計上も別枠で計上されている

同白書の図表注記では、エビについて、上記とは別にエビ調製品として990億円が輸入されていることが示されています。カニについても同様に、カニ調製品として85億円が輸入されていることが示されています。えび・かには、原体に近い形態と、加工が施された調製品とが、統計上も別々に計上されています。どちらの形態で仕入れるかは、調達の実務上も別の検討軸になります。

▶ どの形態で仕入れるかが価格変動の受け方を決める
自社ラインでどこまで加工するかによって、調達先の国も、為替や現地人件費の影響の受け方も変わります。形態の選択は歩留まりや工数の問題であると同時に、調達リスクをどこに置くかという判断でもあります。

かに原料は国内漁獲と輸入の二層で見る

かに加工原料については、輸入統計だけでなく国内漁獲の動向を重ねて見る必要があります。国産ズワイガニの漁獲量減少と輸入依存の高まりについてはこちらの記事で、ベニズワイガニの産地と輸入事情についてはこちらの記事で解説しています。

また、当社が取り扱うアイルランド産ブラウンクラブのように、欧州産のかにみそ原料は国内で流通するかにとは特性が異なります。国内かにみそとの違いはブラウンクラブと国内かにみその違いに、カナダ産ロブスターとの使い分けはカナダ産ロブスターとアイルランド産ブラウンクラブの比較記事にまとめています。

統計を調達計画に落とし込む三つの視点

▶ 輸入全体の単価上昇を前提に予算枠を設計する
数量ベースの前年踏襲では、必要量を確保できない可能性があります。なお白書が示すのは水産物輸入全体の数量と金額であり、品目別の単価水準は示されていません。えび・かにの実勢は、産地・形態・時期ごとに見積書で個別に確認する必要があります。金額と数量を分けて管理し、単価の変動幅を予算に織り込む運用が現実的です。

▶ 産地と形態の両方で分散させる
産地を複数持つことに加え、原体と調製品のどちらで確保するかという選択肢を残しておくことで、特定国の供給事情に左右されにくくなります。

▶ 風味設計から使用量を見直す
甲殻類原料は少量でも風味の方向性に影響するため、配合の見直しが原価の見直し余地につながります。えびみそ・かにみその原料特性はえびみそ・かにみそについてのページでご確認いただけます。

甲殻類加工原料の調達はエスケイ・インターナショナル株式会社へ

エスケイ・インターナショナル株式会社は、創業37年にわたり甲殻類の加工原料を輸入・卸販売してきました。カナダ産ロブスターのえびみそ、アイルランド産ブラウンクラブのかにみそをはじめ、用途と規格に応じた原料をご提案しています。統計に表れた調達環境の変化を踏まえ、産地や形態の選択肢を含めてご相談いただけます。原料の仕様や供給条件についてはお問い合わせよりご連絡ください。