インコタームズの基本|FOB・CIF・FCAをかに・ロブスターで解説

海外から甲殻類の加工原料を仕入れるとき、見積書や契約書には「FOB」「CIF」「FCA」といったアルファベット3文字が書かれています。これはインコタームズと呼ばれる貿易取引条件で、原料の価格にどこまでの費用が含まれ、輸送中のトラブルをどちらが負担するかを決めるものです。この記事では、まず結論と具体例をお伝えし、そのあとで制度の基本を説明します。

まず結論:取引条件は3つのポイントで読む

▶ 1. 決めているのは「費用の範囲」と「危険の分かれ目」
インコタームズは、運賃や保険料、通関の費用をどちらが負担するか、そして貨物の損傷などの危険がどこで売主から買主に移るかを定めた国際規則です。代金の額や支払い方法、所有権がいつ移るかは定めていないため、それらは別に契約で決めます。

▶ 2. CIFでも、海上輸送中の危険は買主側にある
CIFでは売主が運賃・保険料を負担しますが、危険は積出港で貨物が本船上に置かれた時点で買主へ移ります。「日本に着くまで売主の責任」ではありません。

▶ 3. コンテナで運ぶ原料はFCA・CPT・CIPが推奨されている
コンテナ貨物は、本船に積まれる前にコンテナヤードで運送人に引き渡されます。そのため、コンテナ輸送ではFOBよりFCA、CFRよりCPT、CIFよりCIPを使うべきとされています。

ブラウンクラブとロブスターの原料で考える具体例

アイルランド産ブラウンクラブやカナダ産ロブスターの原料を例に、条件の違いで何が変わるかを見てみます。ここでの例は考え方を示すための仮のもので、実際の取引条件は案件ごとに決まります。

例1 ブラウンクラブ Brown Meat をCIFで見積もった場合

アイルランド産ブラウンクラブ Brown Meat は、加熱・選別済みの冷凍原料です。これを「CIF 東京」の条件で見積もったとします。価格には、欧州の積出港から東京港までの海上運賃と、売主が手配する貨物保険の保険料が含まれます。

ただし、輸送中に損傷が起きた場合に損失を負うのは、積み込み後は買主です。そのとき頼りになるのは売主が掛けた保険ですが、インコタームズ2020では、CIFで売主が手配する保険の補償水準は最低限の協会貨物約款(C)とされています(CIPでは(A))。冷凍原料の価値に見合った補償か、保険の範囲を確認しておく必要があります。

また、CIFの価格に含まれるのは日本の港までです。港に着いてからの輸入通関や関税、食品等輸入届出、冷凍倉庫での保管や工場までの配送の費用は、原則として含まれません。輸入時の手続きは輸入水産原料の検査体制|輸入届出・モニタリング検査・検査命令の実務、保管と物流の費用は冷凍水産原料の保管・物流コスト|2026年の約款改正と調達への影響で整理しています。

例2 カナダ産ロブスターみそをFOBとFCAで比べる場合

カナダ産ロブスターみそは、加熱前の生冷凍の原料です(生食用ではありません。必ず十分に加熱してください)。冷凍コンテナで運ぶとき、貨物はまず港のコンテナヤードで運送人に引き渡され、その後に本船へ積み込まれます。

FOBで契約すると、危険が買主に移るのは本船に積み込まれた時点です。つまり、コンテナヤードに預けてから船に積まれるまでの間に何かあれば、その危険は売主に残ります。一方、FCAでは、買主が指定した運送人の管理下に貨物が置かれた時点で危険が買主に移ります。買主の立場では、FCAにすると危険を引き受けるのが早くなる分、その時点から保険でカバーしておくことが大切です。どちらの条件でも、「いつから自社の危険になるか」と「その時点から保険が効いているか」を一緒に確認するのが要点です。

例3 国内の輸入業者から原料を仕入れる場合

国内の輸入業者や商社から原料を仕入れる場合、海外からの輸送や保険、輸入の手続きは輸入業者の側で手配されるのが一般的で、仕入れ側との取り決めは国内での納品条件(納品場所や温度帯、納期など)が中心になります。それでも、原料の供給時期や納期は海外での船積みの時期に左右されます。見積もりや納期の相談では、どの時点を前提にした数字なのかを確認しておくと、計画が立てやすくなります。

ここから詳しく:インコタームズ2020の基本

ここからは、ジェトロ(日本貿易振興機構)の解説をもとに、取引条件を読むときに押さえておきたい点を絞って説明します。

11の規則と2つのグループ

インコタームズは国際商業会議所(ICC)が定める規則で、現在は2020年1月1日発効の「インコタームズ2020」が最新版です。規則は11あり、2つのグループに分かれます。

▶ あらゆる輸送形態に使える規則
EXW(工場渡し)、FCA(運送人渡し)、CPT(輸送費込み)、CIP(輸送費保険料込み)、DAP(仕向地持込渡し)、DPU(荷卸込持込渡し)、DDP(関税込持込渡し)

▶ 海上と内陸水路の輸送のための規則
FAS(船側渡し)、FOB(本船渡し)、CFR(運賃込み)、CIF(運賃保険料込み)

FOB・CFR・CIFは、もともと在来船での輸送を前提にした条件です。コンテナ輸送が広がったことを受けて、コンテナ向けにFCA・CPT・CIPが定められた経緯があります。ただ、長年の取引習慣から、コンテナ輸送でもFOB・CFR・CIFが使われることは今も多いとされています。

契約書に書くときの注意

インコタームズは法律そのものではなく、売買契約に組み込んで使用する国際的な取引ルールです。使うときは「インコタームズ2020を採用する」ことを契約書に明示し、たとえば「CIF Osaka Port, Japan, Incoterms® 2020」「FCA Halifax CFS, Canada, Incoterms® 2020」のように、規則と場所と版をあわせて書きます。

FOBでは指定船積港(積出港)、CFR・CIFでは指定仕向港の名前を書きます。一方、FCA・CPT・CIPでは、指定する場所の意味が規則によって異なります。FCAで書くのは、売主が運送人に貨物を引き渡す場所です(「Halifax CFS」のようなコンテナフレイトステーション(CFS)や、コンテナヤード(CY)など)。CPT・CIPで書くのは、売主が輸送費(CIPでは貨物保険も)を負担する仕向地です。ただしCPT・CIPでも、危険は仕向地ではなく、貨物が運送人に引き渡された時点で買主に移ります。

▶ 納期の読み方
FOB・CFR・CIFでは、売主の引き渡しは積出港で本船に積み込んだ時点で完了します(FCA・CPT・CIPでは運送人に渡した時点)。どちらも日本に着いた時点ではないため、契約上の「船積みの時期」は、日本に到着する時期ではありません。工場で使う時期から逆算するときは、航海の日数に加えて、輸入届出や検査、国内配送にかかる日数も見込んでおく必要があります。ロブスターのように漁期が決まっている原料では、供給の時期そのものにも幅があります(カナダ産ロブスターの漁獲シーズンと供給時期)。

甲殻類加工原料のご相談はエスケイ・インターナショナル株式会社へ

エスケイ・インターナショナル株式会社は、1988年の設立以来、甲殻類の加工原料を輸入し、食品加工メーカーや商社・卸のお客様へ卸販売しています。取り扱いはカナダ産ロブスターみそ、カナダ産ロブスター白身、アイルランド産ブラウンクラブ Brown Meat、アイルランド産ブラウンクラブ White Meat で、いずれも業務用の加工原料です。カナダ産ロブスターみそは生冷凍のため生食用ではありません。必ず十分に加熱してご使用ください。

数量・荷姿・価格・納期は、用途や想定使用量を伺ったうえで案件ごとにご相談させていただきます。評価用サンプルは在庫状況・案件内容に応じてご相談ください。原料の特性は業務用のかにみそ・えびみそ原料をお探しの方へを、ご相談はお問い合わせよりご連絡ください。

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