品質・安全性

輸入甲殻類原料の原料原産地表示|かに・ロブスターの例で分かる書き方

輸入したかにやロブスターの原料を使って国内で加工食品をつくるとき、「ラベルに書く原料の産地はどうなるのか」は、商品開発や品質保証の担当の方が迷いやすいところです。この記事では、まず結論と具体例をお伝えし、そのあとで制度の細かいルールを説明します。

まず結論:輸入原料を使うときの表示は3つのポイントで考える

▶ 1. 海外で加工された原料は「国名+製造」で書くのが基本
海外で加熱などの加工をしてから輸入された原料(食品表示基準で加工食品に当たるもの)が、製品の中でいちばん重量の多い原料である場合、ラベルには「アイルランド製造」のように、その原料がつくられた国に「製造」を付けて書くのが基本です。

▶ 2. 国内で解凍・小分けしただけでは「国内製造」にならない
輸入した原料を国内で解凍したり小分けしたりしただけでは、製品の中身が変わったことにはならず、表示は元の国(「○○製造」と書く原料なら、その製造地)のままです。

▶ 3. 産地の情報は仕入れ先の規格書や納品書で受け取る
正しく表示するには、原料を仕入れる段階で産地や製造地の情報を受け取り、根拠として手元に残しておくことが前提になります。

ただし、個別にルールが決まっている食品や、元の産地までさかのぼって書く方法など、例外や選択肢もあります。それらは後半で説明します。

ブラウンクラブとロブスターの原料で考える具体例

アイルランド産ブラウンクラブやカナダ産ロブスターの原料を例に、考え方の流れを見てみます。ここでの例は考え方を示すための仮のもので、実際の表示は製品の配合や原料の区分によって変わります。

例1 ブラウンクラブ Brown Meat を主原料にした調味料

アイルランド産ブラウンクラブ Brown Meat は、加熱・選別済みの冷凍原料です。これを国内で調味して製品をつくり、製品の中でいちばん重量の多い原料がこの Brown Meat だったとします。

海外で加熱された原料が、後で説明する「中間加工原材料」に当たる場合は、原料の名称の後に製造地を書きます。製造地は通常、輸入するときの輸入許可書に書かれた産地です。それがアイルランドであれば「アイルランド製造」となります。アイルランド産ブラウンクラブ White Meat やカナダ産ロブスター白身も加熱・選別済みの冷凍原料なので、主原料にする場合の考え方の流れは同じです。

例2 生冷凍のカナダ産ロブスターみそを使う場合

カナダ産ロブスターみそは、加熱前の生冷凍の原料です(生食用ではありません。必ず十分に加熱してください)。加熱していない原料は、食品表示基準の区分で「生鮮食品」と「加工食品」のどちらに当たるかによって書き方が変わります。生鮮食品であれば原産国名(例えば「カナダ」)を、加工食品であれば製造地(例えば「カナダ製造」)を書きます。どちらに当たるかは、食品表示基準の区分(別表第1・第2)と消費者庁のQ&Aで確認してください。判断に必要な原料の状態(加熱の有無など)や産地は、仕入れ先から規格書などで受け取っておきます。

また、ビスクのように生クリームなどほかの原料も多く使う製品では、ロブスターみそが重量でいちばん多い原料にならないこともあります。表示の対象は原則として重量割合が1位の原材料(水と添加物は除いて数えます)なので、その場合は1位になった原料について表示を考えることになります。商品名に「ロブスター」と入れていても、重量1位でなければ義務の対象にはなりません。なお、商品名や包装で「カナダ産ロブスター使用」のように原材料の産地を強調する場合は、別のルール(食品表示基準第7条・特色のある原材料の表示)で、原則としてその原材料の使用割合の表示が必要になります。

例3 国内で解凍・小分けされた原料を仕入れる場合

例1の Brown Meat を、国内の別の会社が冷蔵や常温の状態まで自然解凍し、小分けしたものを仕入れたとします。こうした解凍や小分けは製品の中身を変える加工とはみなされないため、「国内製造」にはならず、表示は元の製造地のままです。消費者庁のQ&Aでは、ほかにもラベルの付け替え、単なる切断、選別、輸送や保存のための冷凍などが、同じく「国内製造」にならない作業の例として挙げられています。

ここから詳しく:押さえておきたい制度のポイント

ここからは、消費者庁の「食品表示基準Q&A(別添 新たな原料原産地表示制度)」をもとに、商品開発で押さえておきたいルールを絞って説明します。

表示が必要な製品、いらない製品

原料原産地表示は、平成29年9月1日施行の食品表示基準の改正で、輸入品を除くすべての加工食品に義務付けられました。経過措置は令和4年3月31日で終わっており、現在は国内で製造した加工食品すべてが対象です。表示の対象は、原則として製品に占める重量割合が1位の原材料です。

一方、輸入品は従来どおり「原産国名」を表示し、原料原産地名の表示は必要ありません。外食や、製造した場所で販売する場合(インストア加工を含む)なども不要です。

また、食品表示基準の「別表第15」に載っている食品(22食品群など)には、以前から個別のルールがあります。これらの食品では、この記事で説明している「○○製造」の書き方などが原則として使えないため、該当しそうな製品は別表とQ&Aを確認してください。

「○○製造」の決まり

原材料のうち、それ自体が加工食品に当たるものを「中間加工原材料」と呼びます。表示の対象が生鮮食品ならその「原産地」(輸入品は原産国名)を、中間加工原材料なら「製造地」を書きます。

国名だけを書くと、元のかになどの産地だと誤認されるおそれがあるため、製造地は「○○製造」と書きます。「○○加工」という表現は使えません。輸入した原料の製造地は、通常、通関の際の輸入許可書上の産地です。製造地が複数の国にわたる場合は、重量の多い国から順に、国名ごとに「製造」を付けて書きます。

元の産地までさかのぼって書く方法もある

中間加工原材料の元になった生鮮原材料(例えば加工前のかに)の原産地が分かっていて、客観的に確認できる場合は、「○○製造」の代わりに生鮮原材料名とその原産地を表示することもできます。その場合は、仕入れ先から産地を示す情報を受け取り、根拠として残しておくことが前提です。

仕入れのときに産地情報を受け取っておく

最終製品で正しく表示するには、原料を仕入れる段階で産地情報を受け取る必要があります。業務用の原料の取引では、原産国名や原料原産地名は、容器包装に限らず、送り状、納品書等または規格書等に表示できます。規格書に表示する場合は、納品された製品がどの規格書に基づくものかを、容器包装や納品書等で参照できるようにしておく必要があります。

受け入れのときは、規格書と納品書の記載が一致しているか、ロットが変わったときに産地や製造地が変わっていないかを確認する流れをつくっておくと、表示の修正漏れを防ぎやすくなります。仕入れ先に確認したい書類の全体像はHACCP対応の輸入原料調達|仕入先に確認すべき書類と認証の実務、取引先とやり取りする情報の細かさは輸入水産原料のトレーサビリティ|取引先が求める情報の粒度で整理しています。

▶ 産地がよく切り替わる原料の場合
漁期や供給の状況で産地が変わり、重量の多い国から順に書き続けるのが難しい原料には、「又は表示」「大括り表示」という特別な書き方が用意されています。ただし、使える場面は限られており、ラベルへの注意書きや、過去の使用実績・今後の使用計画を根拠にした資料の保管なども必要です。採用を考えるときは、消費者庁のQ&Aで要件を確認してください。

なお、原料原産地表示とは別に、えび・かにはアレルギー表示が義務付けられている特定原材料です。表示の実務は食品表示法の甲殻類アレルギー表示|えび・かに原料の実務ポイントもあわせてご覧ください。

甲殻類加工原料のご相談はエスケイ・インターナショナル株式会社へ

エスケイ・インターナショナル株式会社は、1988年の設立以来、甲殻類の加工原料を輸入し、食品加工メーカーや商社・卸のお客様へ卸販売しています。取り扱いはカナダ産ロブスターみそ、カナダ産ロブスター白身、アイルランド産ブラウンクラブ Brown Meat、アイルランド産ブラウンクラブ White Meat で、いずれも業務用の加工原料です。カナダ産ロブスターみそは生冷凍のため生食用ではありません。必ず十分に加熱してご使用ください。

原料の産地や規格についてのご質問、評価用サンプルのご相談(在庫状況・案件内容に応じて対応)は、想定している用途とあわせてお知らせください。原料の特性は業務用のかにみそ・えびみそ原料をお探しの方へを、ご相談はお問い合わせよりご連絡ください。

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