冷凍水産原料の保管・物流コスト|2026年の約款改正と調達への影響

冷凍の甲殻類加工原料は、着値が決まった後もコストが動きます。冷蔵倉庫に置いている間の保管料、入出庫のたびに発生する荷役料、工場までの輸送費が、そのまま製品原価に乗ってくるためです。この保管と物流の領域で、2026年に制度側の変更が重なりました。制定から60年以上を経た標準倉庫寄託約款の改正が4月1日に施行され、物流効率化法も2026年度から次の段階に入っています。冷凍水産原料の調達計画に、どこがどう効いてくるのかを整理します。

標準冷蔵倉庫寄託約款は2026年4月1日に改正された

営業用の冷蔵倉庫は、倉庫業法第8条により倉庫寄託約款を定めて国土交通大臣に届け出る義務があります。ただし国土交通大臣が定める標準約款と同一の約款を採用する場合は、届出をしたものとみなされるため、実務上は多くの冷蔵倉庫が「標準冷蔵倉庫寄託約款」をそのまま使っています。つまり、標準約款の中身が変われば、寄託者である荷主側の取引条件も変わります。

国土交通省の改正資料によると、標準倉庫寄託約款は昭和34年12月の制定以降、大規模な改正が行われておらず、寄託契約における取引適正化に支障をきたしているとして今般の改正が行われました。冷蔵倉庫向けの標準冷蔵倉庫寄託約款も同時に改正され、いずれも令和8年(2026年)4月1日に施行されました。国土交通省のサイトでは、令和8年4月1日までの版と4月1日以降の版が並べて掲載されています。旧約款のまま動いている寄託契約が残るため、両方が参照できる形になっています。

▶ 附帯業務と緊急オーダーが有償と明記された
新約款では附帯業務等の規定が新設され、「搬出入車両内での手荷役、仕分、全数検品・開梱検品及びラベル貼りその他の通常倉庫業務(保管、庫入庫出)に附帯する業務」を委託された場合、倉庫会社が別途定める料金または実際に要した費用を請求できることが明記されました。あわせて「十分な時間的余裕のない入出庫指図及び指図の取消しが発生した場合には別途費用を請求することができる」と定められています。改正資料は、緊急の入出庫オーダーがトラックの荷役・荷待ち時間の増大につながるため、これを抑制する趣旨だと説明しています。当日出庫や直前のキャンセルを前提にした運用は、そのまま費用として跳ね返る可能性があります。

▶ 入庫時の内容検査は原則行われない
受寄物の検査についても、倉庫会社は入庫に当たり積付けの外観のみを検査し、内容の検査は行わない旨が明記されました。従来から実務はそうでしたが、条文上あいまいだったため、入庫時に品質が確認されていると誤解される場面がありました。冷凍原料では、荷姿の外観と中身の品質は別物です。受入検品をどこで誰が行うかは、荷主側で設計しておく必要があります。冷凍と解凍が品質に与える影響は輸入水産原料の冷凍・解凍が品質に与える影響と選び方で解説しています。

また、滅失または損傷以外の損害についての賠償額に上限が設けられ、標準冷蔵倉庫寄託約款(甲)では第48条第2項として、当該受寄物に対する既発生料金の総額を限度とすることが定められました。日付が逆転した出庫による販売機会損失なども、この上限の中で扱われます。混合保管の要件も見直され、標準冷蔵倉庫寄託約款(甲)第23条第1項では、保管室温度帯、貨物の品名と単量、荷造りの種類および記号・規格またはそれらに相当する事項が同一の受寄物について、各寄託者から個別に承諾を得なくても混合保管ができる形に整理されました。冷蔵と普通倉庫では扱う貨物の性質が異なるため、同一であるべき条件も一部異なります。

注意したいのは適用のタイミングです。改正資料は、新約款は約款変更後に締結される寄託契約から適用されるため、既存の契約に新約款を適用するには寄託者の同意が必要だと明記しています。つまり施行後の現在も、旧約款のまま動いている契約と新約款に切り替わった契約が混在します。自社の寄託契約がどちらなのかを確認しないまま更新すると、費目の増減を把握しないまま次期の予算を組むことになります。

保管料は重量で決まるが、庫腹は容積で埋まる

冷蔵倉庫の統計は行政上も実務上も重量ベースで取られています。日本冷蔵倉庫協会の解説によると、営業冷蔵倉庫は倉庫の立方体容積を「所管容積」として届け出ており、これに0.4を掛けた数値が「設備トン」です。在庫率は、当月末在庫数量を所管容積×0.4で割って求めます。この0.4という係数は、戦前に以西トロール漁業で使われていた木製のトロ函に魚を入れたときの、単位容積当たりの重量換算率に由来します。

同協会は、2021年8月分の東京都の在庫率35.8パーセントを例に、単純に考えれば64パーセントの余裕があるように見えても、実際はそれほど多くの空きがある状態ではないと説明しています。理由として、伝統的な在庫率が冷凍水産物など比重の大きな貨物を前提としてきたのに対し、近年は加工食品など嵩高な貨物が増えて構成が変わっていること、パレットに積み付けてフォークリフトで棚に入れる方式が主流となり、棚の上下スペースや作業通路が必要になったことを挙げています。協会が示す20,000設備トンのモデル試算では、実運用時の最大収容可能容積率はおよそ38パーセントです。

▶ 比重の違いが保管効率の違いになる
同協会は在庫量を容積に換算する際、品目ごとの想定比重を用いています。2025年7月に見直された値では、冷凍水産物が0.45(札幌0.4、東京0.5)、水産加工品が0.3、冷凍食品が0.2などとなっています。同じ1トンでも、比重の大きい冷凍水産原料は庫腹を占める容積が小さく、嵩高な冷凍食品は容積を多く使うという関係です。重量建てで保管料を払っているのか、使用する倉庫領域に応じて料金が決まる容積建て保管なのかで、荷姿設計の有利不利は変わります。改正後の標準倉庫寄託約款で普通倉庫に新設された面積建保管に対し、容積建保管はもともと標準冷蔵倉庫寄託約款に規定されている契約形態です。ブロック凍結かIQFか、内装容器をどうするかといった仕様は、風味や歩留まりだけでなく保管料の効きにも関わります。

物流効率化法は2026年4月から特定事業者の段階に入った

改正により、法律の名称は「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」から「物資の流通の効率化に関する法律(物流効率化法)」に変わりました。国土交通省のポータルサイトによると、2025年度施行分として、すべての荷主と物流事業者に対し、積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮、実効性の確保について努力義務が課されています。見落とされやすいのは荷主の定義で、運送を手配する側が第一種荷主、その相手方が第二種荷主とされ、発荷主が運送手配を行う場合は着荷主が第二種荷主になります。冷凍原料を受け取る食品メーカーも、荷受け側として努力義務の対象になり得るということです。

さらに、一定規模以上の事業者を特定事業者として指定する規定が2026年4月に施行され、国土交通省は指定を受けた事業者の一覧を公表しています。指定基準は、特定第一種荷主および特定第二種荷主が取扱貨物の重量9万トン以上、特定貨物自動車運送事業者等が保有車両150台以上、特定倉庫業者が入庫貨物の保管量70万トン以上です。注意したいのは、指定が国から一方的に通知される仕組みではないことです。前年度の取扱貨物の重量等が指定基準値以上であるときは事業所管大臣に届け出る義務があり、届出をしなかったときや虚偽の届出をしたときには50万円以下の罰金が科されます。特定事業者には中長期計画の作成と定期報告が義務付けられ、特定荷主には物流統括管理者(CLO)の選任が求められます。取組が著しく不十分な場合は勧告、従わなければ公表、さらに命令があり、命令違反には100万円以下の罰金が科されます。

輸送費側も水準が切り上がっています。国土交通省は令和6年3月22日、トラックの標準的運賃について運賃水準を8パーセント引き上げるとともに、荷役の対価等を加算した新たな運賃を告示しました。荷待ち・荷役に係る費用や燃料高騰分を荷主等に適正に転嫁できるようにする見直しです。為替と併せた原価の見方は円安と輸入甲殻類原料の調達で整理しています。

調達計画に落とし込む三つの視点

第一に、保管と物流の費用を分解して比較することです。保管料、入出庫料、附帯作業料、緊急対応の費用が一体で見積もられていると、条件変更の影響が読めません。新約款で附帯業務が定義されたことは、内訳を確認する機会になります。

第二に、発注ロットと納品リードタイムの見直しです。緊急の入出庫指図が費用の対象になる以上、直前手配を前提とした運用は原価に直結します。生産計画から逆算した引き当てのルールを、社内と倉庫会社の双方で共有しておくと、費用と作業の両面で無理が出にくくなります。

第三に、書類と検品の分担を明文化することです。内容検査が原則行われない前提であれば、受入時に何をどこまで確認し、記録を誰が保持するかを決めておく必要があります。仕入先に確認すべき書類の考え方はHACCP対応の輸入原料調達に、輸入統計から見た調達構造は2025年の水産物輸入動向にまとめています。

甲殻類加工原料の調達はエスケイ・インターナショナル株式会社へ

エスケイ・インターナショナル株式会社は、1988年の設立以来、甲殻類の加工原料を輸入し、食品加工メーカーや商社・卸のお客様へ卸販売しています。取り扱いはカナダ産ロブスターみそ、カナダ産ロブスター白身、アイルランド産ブラウンクラブ Brown Meat、アイルランド産ブラウンクラブ White Meat で、いずれも業務用の加工原料です。カナダ産ロブスターみそは生冷凍のため生食用ではありません。必ず十分に加熱してお使いください。原料の特性はえびみそ・かにみそについてのページをご覧ください。荷姿や納入条件は案件ごとに異なりますので、規格や数量のご相談はお問い合わせよりご連絡ください。

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