甲殻類の加工原料を選ぶとき、産地や風味、価格と並んで見落とされやすいのが「荷姿」です。同じ原料でも、冷凍ブロックで届くのか、一つずつ凍結したIQFで届くのか、袋やトレーなどの容器に詰めて凍結した形で届くのかによって、工場での解凍・計量・投入の手順が変わります。荷姿は物流の話であると同時に、製造ラインの工程を決める仕様でもあります。ここでは三つの代表的な荷姿の特徴と、ライン運用から逆算した選び方を整理します。
荷姿は品質と工程の両方にかかわる仕様
一般社団法人日本冷凍食品協会は、冷凍食品の条件として「前処理している」「急速凍結している」「適切に包装している」「-18℃以下で保管している」の四つを挙げています。包装については「汚れたり型くずれしたりするのを防ぐために、包装しています」と説明しています。加工原料でも考え方は同じで、どの単位で凍結し、どう包装するかが、輸送や保管の間の品質の守り方を左右します。
一方、受け取る側の工場から見ると、荷姿は「1回の開封でどれだけの量が出てくるか」「解凍にどれだけ時間がかかるか」「必要量だけを取り出せるか」を決めます。仕様書の段階で風味や規格値だけを比べ、荷姿を後回しにすると、採用後に解凍設備や作業時間が合わないことが分かる場合があります。
冷凍ブロック・IQF・容器詰めの特徴
冷凍ブロック
原料をまとめて一つの塊として凍結した形です。塊の内側は空気に触れにくく、荷姿としてまとまりがよいため、保管や輸送の単位を揃えやすいのが特徴です。その反面、使うときは原則として塊ごと解凍することになり、解凍には時間がかかります。1ブロックが1回の使用単位になるため、1バッチあたりの使用量がブロックの重量に近い、大量の連続生産に向いた荷姿です。
IQF(バラ凍結)
IQFはIndividually Quick Frozenの略で、身や粒を一つずつばらばらの状態で凍結した形です。必要な量だけを取り出して計量でき、残りは凍結したまま戻せるため、配合量が少ない商品や、多品種を少しずつ作るラインで扱いやすくなります。表面を氷の膜で覆うグレーズ(氷衣)処理が施されることがあり、その場合は後述する正味量の確認が欠かせません。
容器詰め(袋・トレー等)
ペーストやミンチのように形の定まらない原料は、袋やトレーなどの容器に充填して凍結する形になります。こうした原料を検討する際は、容器の種類と1容器あたりの充填量を確認しておきます。1容器の充填量がそのまま開封の単位になるため、1回の仕込みで使い切れる量かどうかを先に確かめておくと、開封後に残った原料の扱いに悩まずに済みます。
グレーズがある場合は「正味量」を確認する
グレーズ処理された原料では、表示や規格書の重量が氷を含むのか、含まないのかを確認します。経済産業省の「計量法における商品量目制度Q&A集」は、冷凍食品や冷凍品について「氷衣を含まない裸の質量(正味量)を計量・表示してください」と回答しています。これは計量法の商品量目制度についての回答で、原料の取引でも重量の考え方をそろえる際の参考になります。
同じQ&A集は、正味量の計量方法として、凍結前(氷衣を付ける前)の重量を計る方法と、凍結後の重量と別途サンプリングで測定するグレーズ率から推定する方法の二つを挙げています。そのうえで、解凍時にドリップ等が染み出るおそれや、融水の除去量のばらつきによって、二つの方法の計量結果には相当程度の差異が生じるおそれがあると注意を促しています。
受入時に自社で重量を確認する場合、どちらの考え方で計るかを仕入先とそろえておかないと、歩留まりの計算や原価の見積もりがずれます。規格書では、重量の表記が正味かどうか、グレーズ率がどう示されているかを確認しておくと安心です。
ライン運用から逆算する荷姿の選び方
▶ 1バッチの使用量と開封単位を合わせる
1回の仕込みで使う量が、ブロックや容器の重量の何個分にあたるかを確認します。端数が出る組み合わせでは、開封後の残りを翌日以降に回す運用が生まれます。解凍と再凍結を繰り返すとドリップや食感の変化につながりやすいため、残りを再凍結して戻すことを前提にしない量の設計が基本です。冷凍と解凍が品質に与える影響は輸入水産原料の冷凍・解凍が品質に与える影響と選び方で解説しています。
▶ 解凍の設備と時間を見込む
冷凍ブロックや大容量の容器詰めは、解凍に時間がかかります。前日から解凍庫に移す運用が組めるか、解凍中の置き場を確保できるかを、生産計画と合わせて確認します。IQFは必要量だけを扱えるぶん、この負担を小さくしやすい荷姿です。
▶ 開封・計量の場所をアレルゲン管理と合わせて決める
甲殻類の原料は、開封や計量の場所がそのまま交差接触の管理範囲になります。荷姿によって開封の回数や作業の場所が変わるため、ゾーニングの考え方と合わせて決めておきます。詳しくは甲殻類アレルゲン管理の現場対応をご覧ください。
▶ 保管の効率も含めて比べる
荷姿は、冷蔵倉庫での保管の効率や費用にも関わります。保管料の考え方と2026年の約款改正の影響は冷凍水産原料の保管・物流コストで整理しています。
甲殻類加工原料の荷姿のご相談はエスケイ・インターナショナル株式会社へ
エスケイ・インターナショナル株式会社は、1988年の設立以来、甲殻類の加工原料を輸入し、食品加工メーカーや商社・卸のお客様へ卸販売しています。取り扱いはカナダ産ロブスターみそ、カナダ産ロブスター白身、アイルランド産ブラウンクラブ Brown Meat、アイルランド産ブラウンクラブ White Meat で、いずれも業務用の加工原料です。カナダ産ロブスターみそは生冷凍のため生食用ではありません。必ず十分に加熱してご使用ください。
数量・荷姿・価格・納期・商流は、用途や想定使用量を伺ったうえで、案件ごとにご相談させていただきます。本記事で挙げた三つの荷姿は一般的な分類で、当社の各商品の荷姿を示すものではありません。お問い合わせの際に、想定用途や使用量とあわせて希望の荷姿をお知らせいただくと、検討が進めやすくなります。原料の特性は業務用のかにみそ・えびみそ原料をお探しの方へを、ご相談はお問い合わせよりご連絡ください。